オフィスビルのテナントに節電意欲が必要なわけ

電力会社は毎日の電力需要を事前に予測(需要予測)しながら発電を行ってます。電力需要は四季やその日の気温および社会的出来事によって大きく異なってきます。大事なことは発電量は絶対に需要量を下回ってはいけないということです。

図1は東京電力の需要曲線です。四季によって需要が大きく変っているのが分かります。夏が一番大きくなるのはご存知の通りです。休日は四季を通してあまり変わりが無いので一つのグラフで表されてます。

需要曲線を見ると、午前9時にはすっかり立ち上がり、18時を過ぎると24時に向けてどんどん少なくなって行ってます。これはオフィス内で仕事が始まり、18時過ぎると残業する人だけ残るオフィスワークとぴったり一致します。ここで言うオフィスとは通常のオフィスビル、小売店舗、ショッピングモール、病院、学校などを意味してます。(工場なども一部含まれていますが、大型工場では自家発電をしているところが多いため、この需要曲線にはわずかしか含まれていません)

この需要曲線からは、日中の電力使用の70~80パーセントはオフィスビルで使われていると推測できます。(休日需要の大半が家庭用であり、平日の家庭での利用は休日に比べると大幅に少ないなどを考慮に入れて推測しました)

日間需要曲線

最大の問題はこの需要曲線のピーク使用量が年々高くなり続けていることです。(図2)ピーク時を含むオフィス全体の需要が増え続けているからです。1975年から2001年までの26年間の拡大は、ピーク時の最大で1億1000万kW増加してます。年間423万kWの増加です。これは大型発電機7~8台分に相当します。つまり、毎年大型発電所を数個所づつ増設しなければ、いつか近いうちに真夏の一番暑い日に首都圏全体が大停電に見舞われる危険性があります。特に今年の夏は柏崎原子力発電所7機820万kW分が本格的営業運転を行っていないので大変危険です。

真夏における1日の電気の使われ方の推移

結論は、昼間の電力需要の70~80パーセントを使用しているオフィスが本格的に節電をしなければ大停電の危険性もますます大きくなるし、世界一高い電気代もますます高くなるということです。

オフィスビルのテナントに対する料金計算は節電意欲を高めているか?

最近は地球温暖化の観点から低炭素化社会の実現が叫ばれ、省エネ法改正に伴う企業ごとの二酸化炭素排出の報告義務が大企業には求められたため、ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の実現の方向に動き出しております。ZEB化を支援する製品やサービスも出現し、低炭素化の意識がオフィス内にも高まりつつあります。

問題はビルに入居している全てのテナントに節電意欲があるかどうかです。残念ながらテナントは節電意欲を持てるような状況にはありません。原因はテナントに対する料金計算にあります。電力会社はビル全体の料金計算は行うが、テナント毎の計算は行ってません。その計算はビルオーナーやビル管理会社がやってます。ビル管理会社は電力会社から請求された料金を均等にテナントへ按分する方式や管理会社が定めた独自の単価を採用しているなどが一般的です。

その結果、

  • 自分に最適な契約種別を割り当てて料金計算をしてくれない。
    最適契約種別を割り当ててもらえれば電気料金がもっと安くなるのに・・・・。
  • 一生懸命節電して電気使用量(kWh)を減らしたにも拘らず、請求された金額は節電前より増えていた。
  • 同じビルのよそのテナントの影響を受けた料金が請求される。
という不満が高まってます。

これではテナントに節電意識を持てといっても無理なお願いです。日本全体の日中の需要の70~80パーセントはオフィスの使用であることを考えれば、テナントに対する電気料金計算方法を節電意欲を高揚させるように変える必要があります。そうしなければ『首都圏大停電』の恐怖から逃れることは出来ません。

では何故このような料金計算になっているのでしょうか?
次回のコラムでご説明いたします。

次回の内容予告
  • テナントに対する料金計算の現状と問題点
  • 節電意欲が高まる料金計算とは?
意見箱 お問い合わせ